『ロック・オア・バスト』は、オーストラリアのハードロックバンドAC/DCの16枚目のスタジオ・アルバムで、2014年11月28日にリリースされた。国際的には15作目、オーストラリア国内では16作目に当たる。本作は、創設メンバーでありリズムギタリストのマルコム・ヤングが健康問題により2014年にバンドを引退した後初のアルバムとなったが、全曲の共作に参加している。ベーシストのクリフ・ウィリアムズも本作リリース後に引退し、ドラマーのフィル・ラッドは自宅拘禁の判決によりサポートツアーに参加できなかった。さらに、本作はボーカリストのブライアン・ジョンソンが在籍中にリリースされた最後のスタジオ・アルバムでもある。ジョンソンはツアー第五弾後に難聴のためバンドを離脱し、2016年3月からは元ガンズ・アンド・ローゼズのリードシンガー、アクセル・ローズが正式な後任として加入した。

AC/DCのレコードにおいて、エコノミー（簡潔さ）は非常に重要だ。彼らの音楽は肉厚でありながら、最も輝くのは無駄を削ぎ落としたとき――余分なコードを加えず、骨身に徹したときである。バンドの15作目のスタジオ・アルバム『Rock or Bust』は、控えめなスケール感を利点としている。全11曲と、1995年のリック・ルービンがプロデュースした『Ballbreaker』以来の最少トラック数だが、より重要なのは演奏時間が35分にも満たないことで、これはAC/DC史上最も短いアルバムとなった。おそらくこれは、アルバム制作の困難さを反映している。レコーディング中、創設メンバーであるギタリストのマルコム・ヤングが認知症に苦しんでおり、弟のアンガスがバンドを単独で率いることになった。アンガスとプロデューサーのブレンダン・オブライエン（2008年の前作『Black Ice』を手がけた）は、ヤング兄弟の甥スティーヴィーを起用してパートを補完し、短期間でレコードを完成させた（ドラマーのフィル・ラッドはスタジオに遅刻がちで、アルバム発売前に犯罪疑惑に巻き込まれ事実上バンドを離脱したため、ほとんど貢献できなかった）。マルコムは不在だったが、その存在感は感じられる。アンガスは兄と共にデモとして録音した古いリフ・テープから曲を仕上げたため、『Rock or Bust』は他のAC/DCのアルバムと大きく異なる印象を与えない。むしろ、軽快な足取りが特徴で、「Got Some Rock & Roll Thunder」や「Hard Times」にはリズムにスウィングと躍動感があり、「Sweet Candy」はハリー・ヴァンダとジョージ・ヤングの初期を彷彿とさせる悪趣味なバブルガム・ロックの系譜を感じさせる。AC/DCのアルバムである以上、『Rock or Bust』も完璧ではない――最大のつまずきは重苦しい「Dogs of War」で、これはプロテスト・ソングなのかどうかすら曖昧だ――が、全編を通じて無駄なリックに時間を割かず、この実直なアプローチにより、『Black Ice』では成し得なかった曲の記憶への定着度を実現している。もし『Rock or Bust』が本当にAC/DC最後のアルバムとなるなら（制作中に多くの挫折を乗り越えたことは事実だ）、それは彼らのキャリアにふさわしい締めくくりとなるだろう。過去の作品と変わらないかもしれないが、多くの点で近年のAC/DCアルバムよりも力強く、彼らのユーモアあふれる猥雑さと工業的な強度を備えたリフが、なぜロックの象徴となったかを証明している。（Stephen Thomas Erlewine, AMG）