『フライ・オン・ザ・ウォール』は、オーストラリアのハードロックバンドAC/DCの10枚目のスタジオ・アルバムで、1985年6月28日にアルバート・プロダクションズとアトランティック・レコードからリリースされた。これはバンドにとって国際的にリリースされた9作目のスタジオ・アルバムであり、オーストラリア国内では10作目に当たる。1983年にリリースされたAC/DCのアルバム『フリック・オブ・ザ・スイッチ』は批評家から賛否両論を受けたものの、バンドは依然として世界を代表するハードロック・アクトの一つであり続けた。1984年10月、アメリカのアトランティック・レコードはEP『’74ジェイルブレイク』をリリース。これは主に1975年のオーストラリアデビュー作『ハイ・ヴォルテージ』から収録された、それまでオーストラリア国外で未発表だったスタジオ・トラック集である。1985年1月、バンドは『フライ・オン・ザ・ウォール』のレコーディング作業を3週間中断し、ブラジルのリオデジャネイロで開催された10日間のロック・イン・リオ・フェスティバルで2夜のヘッドライナーを務めた。1月19日にはスコーピオンズ、ホワイトスネイク、オジー・オズボーンと共演し、25万人以上の観衆を前にパフォーマンスを披露した。

「歌詞カードを読まなければ、これがどれほど性差別的で政治的に不適切なのか、決して気づかないだろう。ブライアン・ジョンソンの歯医者のドリルのような声からは、一言も聞き取れないからだ（おそらく、マントラのように繰り返される曲のタイトル以外は）。アンガス・ヤングも絶好調で、音楽の語彙の中で最も愚かで、最も抗しがたいほど反復的なコードを弾いている。」（ティム・ホームズ、ローリング・ストーン）「1985年のアルバム『Fly on the Wall』では、AC/DCは新作アルバムの宣伝用にありきたりなビデオクリップを制作する代わりに、少し違ったアプローチを試みた。アルバムの5曲にまたがるストーリーラインが作られ、その内容は『市民ケーン』ほど洗練されたものではなかったが（バンドが都会のバーで演奏しながら、曲ごとに奇妙なキャラクターが登場するというもの）、80年代の陳腐なクリップの中ではかなり独創的なアイデアだった。最も人気があったのは、中速のロックナンバー「Danger」のビデオで（バンドを盗み見る下品な写真家が登場）、MTVのヘビーメタル番組で頻繁に放映された。他のクリップには「Shake Your Foundations」（タイトルが示す通り、バンドがバーを瓦礫に変える）や、かなり恥ずかしい「Sink the Pink」（ディスコダンサーがAC/DCの轟音のようなヘビーメタルに合わせて踊る…冗談でしょう！）が含まれている。1986年のホームビデオ『Who Made Who』と同様、『Fly on the Wall』は上映時間が短すぎるのが難点だが、それでも楽しめる作品に仕上がっている。」（グレッグ・プラトー、AMG）