『Back in Black』は、オーストラリアのロックバンドAC/DCの7枚目のスタジオ・アルバムである。1980年7月25日にアルバート・プロダクションズとアトランティック・レコードからリリースされた。前ボーカリストのボン・スコットの死後、ブライアン・ジョンソンを新ボーカリストとして迎えて制作された初のアルバムである。1979年のアルバム『Highway to Hell』で商業的なブレイクを果たしたAC/DCは、続くアルバムの制作を計画していたが、1980年2月にスコットが過度の飲酒によるアルコール中毒で死去した。バンドは解散せずに活動を続けることを決め、元ジョーディーのボーカリストだったジョンソンを加入させた。

1980年2月、酩酊状態のボン・スコットが嘔吐物による窒息で亡くなった時、AC/DCの未来を想像する者はいなかった。しかしこの英豪バンドは、伝説的なリードシンガーの後任を見事に発掘。ジョーディー出身のブライアン・ジョンソンが予想に反して難題を乗り越え、前任者とは異なる力強く主に高音域の歌唱スタイルを確立した。伝説的な喪の黒いジャケットを纏った『Back in Black』は新生AC/DCの誕生を告げ、驚異的な楽曲群を収録。ヤング兄弟のギター——マルコムのグレッチとアンガスの代名詞であるギブソンSG——はリフの効力とソロの精度（特に「Back in Black」と「You Shook Me All Night Long」）で互いの天才性を競い合う。純粋なAC/DCサウンド（「What Do You Do for Money Honey」）に加え、ZZトップ風の重厚なブギー要素（「Have a Drink on Me」）、レッド・ツェッペリン流の劇的ハードロック（「Shake a Leg」）、そしてブルースの神への讃歌（「Rock and Roll Ain’t Noise Pollution」）も散りばめられた。クリフ・ウィリアムズとフィル・ラッドが完成度の高い堅固なリズム基盤を提供。1980年7月15日のリリース時、ファンは予想通りブライアン・ジョンソンについて意見が分かれた。ボン・スコットなしで続行できるのか？ 本作の成功と続くワールドツアーが論争を鎮め、40年経った今、この決断を疑う者はいない。5000万枚を売り上げた『Back in Black』は、マイケル・ジャクソンの『スリラー』に次ぐ史上2番目の売上を記録している。——マルク・ジスマン