アルバート・キングの『I’ll Play the Blues for You』は、彼のスタックス・レコード時代を代表する傑作ブルース・アルバムだ。1966年にスタックスと契約したキングは、同レーベルがロックファンを取り込む中でより広い聴衆を獲得。初期のヒット作「クロスカット・ソー」「ランドロマット・ブルース」、そしてブッカー・T＆ザ・MG’sとの共演による「ボーン・アンダー・ア・バッド・サイン」に続く1972年の本作では、バー＝ケイズ、アイザック・ヘイズ・ムーブメント、メンフィス・ホーンズのメンバーが参加。ファンクの要素を取り入れた緊密なサウンドが、キングの名高いギター・ワークを際立たせている。彼の真骨頂はボーカルよりもソロ演奏にあり、ここでも時に力強さに欠ける歌唱よりも、タイトル曲や「ブレイキング・アップ・サムバディーズ・ホーム」といった7分超の楽曲で情感豊かなギターが光る。「アイ・ビー・ドッグゴーン」や「ドント・バーン・ダウン・ザ・ブリッジ」では長尺でダイナミックな演奏が展開。ベーシストのジェームス・アレクサンダーが奏でる躍動感あるラインが、キングの力強くもソウルフルなプレイを支える。『I’ll Play the Blues for You』はキングのスタックス時代の最高作のひとつに数えられる。