『パット・ギャレット＆ビリー・ザ・キッド』は、アメリカのシンガーソングライター、ボブ・ディランの12作目のスタジオ・アルバムであり、初のサウンドトラック・アルバムである。1973年7月13日にコロムビア・レコードより、サム・ペキンパー監督の映画『パット・ギャレットとビリー・ザ・キッド』のサウンドトラックとしてリリースされた。ディラン自身も映画に「エイリアス」という役で出演している。サウンドトラックは主にインストゥルメンタル曲で構成され、映画自体にインスパイアされたもので、「天国への扉」という大西洋をまたいでトップ20入りしたヒット曲も収録されている。このアルバムはいくつかの点で異色だった。まず、ボブ・ディランにとって初めてのサウンドトラック（サム・ペキンパー監督の同名映画のため）という挑戦だった。さらに、3年ぶりの新作LPであり、この間「ジョージ・ジャクソン」のシングルや1971年のバングラデシュ慈善コンサート出演以外は一切音沙汰がなかった。最後に、ポップカルチャー史の奇妙なタイミングでリリースされ、1973年7月、ポール・マッカートニーが初めて本格的に手がけた映画音楽『007/死ぬのは奴らだ』のサウンドトラック（ビートルズのベーシストは以前、英国プロジェクト『The Family Way』の音楽を担当していたが、ビートルズの成功の陰で見過ごされていた）と同じ日に発売された。興味深いことに、それぞれの作品で、アーティストは過去の重要な音楽家/協力者と再会している。マッカートニーはプロデューサーのジョージ・マーティンと、ディランはギタリストのブルース・ラングホーンと。ラングホーンは『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』までの初期アルバムで共演していたが、その後マイク・ブルームフィールドらに取って代わられていた。しかし、両プロジェクトの類似点はここまでで、タイトル曲を除けば『007/死ぬのは奴らだ』はマッカートニーではなくマーティンのプロジェクトだったのに対し、ディランは『パット・ギャレット＆ビリー・ザ・キッド』で作曲家、ミュージシャンなどとして全面的に関わっていた。さらに、マッカートニーの作品が大衆向けアクション・ファンタジー映画に合わせた純粋なポップ・ロックだったのに対し、ディランの作品はLP全体を構成し、その結果生まれたアルバムは、映画界の偉大な監督の一人による非常にシリアスな歴史映画を強調するために考案された、美しくシンプルで、時に荒削りで、時に洗練されたカントリーやフォークの影響を受けたロックだった。また、ラングホーンだけでなく、ブッカー・T・ジョーンズ、ロジャー・マッギン、バイロン・バーラインといった著名人も参加しており、彼の最近のアルバムと同等のクオリティを誇っていた。「天国への扉」はアルバムから生まれた明白なヒット曲で、売上を牽引したが、「ビリー1」「ビリー4」「ビリー7」も良い曲だった。これらがブートレグで出回っていたら、ディランの記号学者や聖人伝作者たちを何年も忙しくさせただろう。これらの曲を囲むインストゥルメンタルも、ディランの音楽作りの現れとして聴く価値があり、「バンクハウス・テーマ」は実に見事だった。1970年の『ニュー・モーニング』以来、ディランが5分以上の新曲を一気にリリースしたのは初めてで、ファンだけでなくペキンパーへの贈り物でもあった。当時は誰も気づかなかったが、これは新たなレコーディングと（ザ・バンドとの）全国ツアー、そして短期間のレーベル移籍、そして1966年以来のディランの音楽的持続的注目度の最高潮を告げるものだった。このレコードはまた、ディランが映画音楽の要件に合わせて自分の音楽を圧縮しても、その内容や質を損なわないことを証明した。当時、ロックアーティストの中で唯一ビートルズが成し遂げていたことで、しかも彼ら自身の映画『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』でのことだった。「天国への扉」は少なくとも21年ぶりに西部劇から生まれた最大のヒットだったかもしれない。1952年にディミトリ・ティオムキンとネッド・ワシントンがフレッド・ジンネマンの『真昼の決闘』でテックス・リッターに歌わせた「ハイ・ヌーン」以来（そしてカティ・ジュラードは両方の映画に出演していた）、ディランはリッターを二つの点で上回った。音楽（フルスコア）を書き、映画にカメオ出演したのだ。このアルバムはその後、続くツアーや『血の轍』『ディザイア』のような圧倒的な音楽的成果の陰でやや見過ごされがちだったが、単独で聴けば30年以上経った今でも色あせない。