ジョン・ウェズリー・ハーディングは、ボブ・ディランの8作目のスタジオ・アルバムで、1967年12月27日にコロムビア・レコードよりリリースされた。3作のエレクトリック・ロック・アルバムの後、アコースティックでルーツに基づいた音楽への回帰を象徴する作品である。ボブ・ジョンストンがプロデュースを手がけ、ディランが当時ザ・バンドと共に制作していたホーム・レコーディング（後に1975年に『ザ・ベースメント・テープス』として一部発表）とスタイル的な共通点を持つ。ナッシュビルで録音され、ベースのチャーリー・マッコイ、ドラムスのケネス・バットリー、スティール・ギターのピート・ドレイクという最小限のミュージシャンによる簡素なサウンドが特徴だ。収録曲12曲には「オール・アロング・ザ・ウォッチタワー」（後にジミ・ヘンドリックスによって広く知られる）も含まれ、道徳やアメリカーナをテーマにしたディランの詩的深みが光る。批評家から高く評価され、宣伝が限られていたにもかかわらず、アメリカで2位、イギリスで1位を記録し、3ヶ月でゴールド認定を獲得。2003年にはローリング・ストーン誌の「史上最高のアルバム500選」で301位、2012年版では303位にランクインした。SACD盤の再発により、温かみのある親密なサウンドがさらに引き立ち、ディランのシンプルさへの転換が際立つ。フォークやディラン・ファンにとって必須の作品であり、時代を超えた楽曲と控えめなプロダクションが融合した『ジョン・ウェズリー・ハーディング』は、彼の作品群の中でも重要な位置を占めている。