『インフィデルズ』は、ボブ・ディランの22作目のスタジオ・アルバムで、1983年10月にコロムビア・レコードよりリリースされた。キリスト教への改宗後に制作した3作の福音アルバムを経て、世俗音楽への回帰を果たした作品である。ディランとマーク・ノップフラーが共同プロデュースを手がけ、愛と喪失という個人的なテーマに焦点を当てつつ、環境問題や地政学的問題への批評も織り交ぜ、宗教的なイメージも控えめに残している。『ローリング・ストーン』誌のクリストファー・コネリーを含む批評家たちは、このアルバムを『血の轍』以来のディランの最高傑作と称賛し、詩的な歌詞とメロディックな強さで彼のキャリアを再活性化させた。ノップフラーのギターやスライ・ダンバーのドラムをフィーチャーしたバンドの演奏も際立っており、全米20位（ゴールド認定）、全英9位と商業的にも成功を収めた。しかし、後に『ザ・ブートレッグ・シリーズVol.3』（1991年）で発表されたキャリアのハイライト曲「ブラインド・ウィリー・マクテル」などが未収録だったことは、ファンや批評家の間で惜しまれた。SACD盤でのリイシューにより、アルバムのクリアなプロダクションがさらに際立ち、繊細なサウンドが強調されている。『インフィデルズ』は、内省的な楽曲と社会批評が見事に融合したディラン・ファン必携の作品であり、彼のキャリアにおける転換点として、個人的なテーマと政治的なテーマのバランスを取った傑作である。批評的な称賛と長きにわたる影響力により、1980年代のディラン作品の礎となっている。