『インフィデルズ』はボブ・ディランの22作目のスタジオ・アルバムで、1983年10月27日にコロムビア・レコードからリリースされた。このアルバムは、3作の福音派・ゴスペル作品を録音した後、ディランが世俗的な音楽に戻った作品と多くの人々から見なされている。愛と喪失といったより個人的なテーマに加え、環境保護や地政学についての批評も焦点となっている。多くの批評家は、『ブラッド・オン・ザ・トラックス』以来のディランの最高傑作と評価している。

『インフィデルズ』は、ボブ・ディランが『ストリート・リーガル』以来初めて制作した世俗的なアルバムであり、その内容は前作よりも古典的なディランらしさに満ちている。イメージ喚起的でストレートなアプローチの楽曲が並び、『スロー・トレイン・カミング』のように簡潔でありながら、その作詞は70年代半ばのディランのピークに近い。特にA面のいくつかの曲はマイナー・クラシックと呼べるもので、社会的意識の復活と、詩的で優雅なラブソングの才能が蘇った瞬間を捉えている。一時期、『インフィデルズ』は後期の傑作と思われたが、終盤にかけて勢いが衰え、完全なる勝利とはならなかった。それでも、それまでの約10年間にリリースされた作品と比べれば、『インフィデルズ』はディランがかつての力をほぼ取り戻しかけた、輝かしい成果なのである。