ボブ・ディラン（本名：ロバート・アレン・ジマーマン、1941年5月24日生まれ）は、アメリカのシンガーソングライター、作家、美術家である。史上最も偉大なソングライターの一人と評されるディランは、50年以上にわたりポピュラー文化の中心的存在であり続けている。彼の最も称賛された作品の多くは1960年代に生まれた。「風に吹かれて」（1963年）や「時代は変わる」（1964年）などの楽曲は公民権運動や反戦運動のアンセムとなった。この時期の彼の歌詞には政治的・社会的・哲学的・文学的な多様な影響が取り入れられ、ポップミュージックの慣習に逆らい、当時台頭しつつあったカウンターカルチャーに訴えかける内容であった。

1962年に発表した主に伝統的なフォークソングで構成されたデビューアルバムに続き、ディランは翌年『The Freewheelin’ Bob Dylan』のリリースでソングライターとしての突破口を開いた。このアルバムには「風に吹かれて」やテーマ的に複雑な「A Hard Rain’s a-Gonna Fall」が収録されている。これらの曲の多くで、彼は古いフォークソングのメロディや言い回しをアレンジした。1964年には政治色の強い『The Times They Are a-Changin’』と、より詩的で内省的な『Another Side of Bob Dylan』を発表。1965年から1966年にかけて、ディランは電気増幅されたロック楽器を取り入れて物議を醸し、15ヶ月の間に1960年代で最も重要かつ影響力のあるロックアルバム3作『Bringing It All Back Home』（1965年）、『Highway 61 Revisited』（1965年）、『Blonde on Blonde』（1966年）を録音した。6分間のシングル「ライク・ア・ローリング・ストーン」（1965年）について、『ローリング・ストーン』誌は「これほど徹底的に当時の商業的な法則や芸術的慣習に挑戦し、変革したポップソングは他にない」と評した。