タイトルで言及されているボブ・ディランの「もう一つの側面」とは、おそらく彼のロマンチックで不条理、そして気まぐれな一面――『タイムズ・ゼイ・アー・ア・チェンジン』で強調された堅固なフォークやプロテスト色の強い要素とは真逆のもの――を指している。そのため、『アナザー・サイド・オブ・ボブ・ディラン』はより多様性に富んだ作品であり、ディランが音楽の幅を広げ、ラブソングにもプロテストソングにも想像力豊かで詩的な表現を披露している点で、より成功した作品とも言える。実際、前作と同様に「オール・アイ・リアリー・ウォント・トゥ・ドゥ」「チャイムズ・オブ・フリーダム」「マイ・バック・ペイジズ」「アイ・ドント・ビリーブ・ユー」「イット・エイント・ミー・ベイブ」といったスタンダード曲を生み出しているが、このアルバムの成功の鍵は、優雅で詩的で重層的なアルバム・トラックにある。歌詞も音楽もより深みを増し、ディランはより多くのことに挑戦している――その構成や姿勢において、これは厳密にはフォークの範疇を超え、はるかに広い領域を網羅している。その結果、彼の最高傑作の一つである、親密で愛らしい作品が生まれた。