アート・ガーファンクルのデビューソロアルバム『Angel Clare』は、1973年9月11日にリリースされ、ロイ・ハリーとガーファンクル自身がプロデュースを手がけた。このアルバムはチャートで5位を記録し、ジミー・ウェッブ作の「All I Know」（全米9位）というガーファンクル唯一の全米トップ10ヒットを含むほか、「Traveling Boy」（アダルト・コンテンポラリー38位）や「I Shall Sing」（ビルボード・ホット100で38位、アダルト・コンテンポラリーで4位）といったトップ40ヒットも収録されている。トーマス・ハーディの小説『ダーバヴィル家のテス』の登場人物にちなんで名付けられたこのアルバムでは、荘厳なオーケストラバラードの中でガーファンクルの息の長いテナーが光り、ヴァン・モリソンの「I Shall Sing」のカバーはサイモン＆ガーファンクルの「Cecilia」を彷彿とさせる活気に満ちた仕上がりとなっている。ジェリー・ガルシアやJ.J.ケイルらギタリストを迎えたこの作品は、「明日に架ける橋」のような豪華なアレンジとジョニー・マティスを思わせる洗練された感性を兼ね備え、サイモン＆ガーファンクル解散後のガーファンクルに対する高い期待に見事に応えた内容となっている。