『Blackbox Life Recorder 21f / In a Room7 F760』は、イギリスの電子音楽アーティスト、Aphex TwinによるEPレコードである。2023年7月28日にWarpよりリリースされた。先行シングルとして「Blackbox Life Recorder 21f」が2023年6月21日に発表されている。このEPには4曲が収録されており、最終トラックには「Blackbox Life Recorder 21f」の別バージョンである「Parallax mix」が含まれている。

2018年に華々しい『Collapse』EPをリリースした後、Aphex TwinはシンセサイザーメーカーのNovationと協力してAFX Stationというモノシンセを開発し、いくつかのフェスティバル出演時に限定版EPを発表していた。『Blackbox Life Recorder 21f / in a room7 F760』は5年ぶりの本格的な新作リリースであり、『Collapse』ではベテラン音楽家がサウンドを前進させているように感じられたが、今回は基本的に彼の得意領域にいる。短いEPの最初で最長のトラック「Blackbox Life Recorder 21f」は、ぴくぴくしたビート、まろやかなシンセコード、サンプリングされた人間の声のような柔らかいメロディで始まり、やがて分厚いブレイクビートが音景を跳ね回る。いくつかの異なるブレイクが積み重なり、過負荷の瀬戸際に感じられた瞬間、ビートは一瞬止まってリフレッシュし、滑らかに戻ってくる。2曲目の「zin2 test5」は、弾力のあるベースラインと複雑なビートパターンを柔らかいシンセパッドの流れに対置している。このトラックのどの要素を引いても、単純すぎたり未発達に聞こえるだろうが、すべてが完璧に調和している。「in a room7 F760」では疾走するドラムが先導し、最初は少し80年代のアクション風の雰囲気があるが、シンセがより断片的になり、ドラムが一時的に鋭く金属的なエッジに削ぎ落とされると、90年代後半のAphexの研磨されたドリルン・ベーススタイルを一瞬思い起こさせる。「Blackbox Life Recorder 22 [Parallax Mix]」は1曲目をよりメロディックでないバリエーションにしたもので、バランス感覚も欠いている。このEPはゲームチェンジャーではないが、Aphex Twinの紛れもない個性が十分に詰まっていて価値がある。——ポール・シンプソン