ジャズ界の革新者の一人であるドラマー、アンドリュー・シリル率いるカルテットの新作アルバムは、2016年発表の『The Declaration of Musical Independence』から物語を紡いでいく。ダウンビート誌が「時間、拍動、空間、そして雰囲気への率直な探求…野心的でありながらシンプル、豊かでありながらミニマル、挑戦的でありながら無限の満足感をもたらす」と絶賛した作品だ。ビル・フリゼールとベン・ストリートは前作のラインナップから続投し、ピアノにはデイヴィッド・ヴィレレスが加わっている。各プレイヤーには即興表現の余地が与えられており、フリゼールとヴィレレスは楽曲提供も行っているが、バンドを導くのはシリルのコミュニケーション力と、ニューヨーク・タイムズ紙が「警戒しながらも流れるような拍動」と評した彼の感覚である。

81歳のマスタードラマー、アンドリュー・シリルは衰えを知らない。2016年にはECMレーベルから傑作四重奏『Declaration of Musical Independence』を発表。ギタリストのビル・フリゼール、ピアニストのリチャード・タイテルバウム、ベーシストのベン・ストリートと共演した。2018年の『Lebroba』では、フリゼールとトランペッターのワダダ・レオ・スミスとのトリオ作品を披露。今回の『The News』では四重奏編成に戻り、ストリートとフリゼールに加え、ピアニストのデイヴィッド・ヴィレレス（2020年に逝去したタイテルバウムの後任）が参加している。ドラマー、ピアニスト、ベーシストの3人は、ヴィレレスの2012年作『Continuum』ですでに共演経験がある。シリルの驚異的な多様性と集中力は、コールマン・ホーキンスやウォルト・ディッカーソンからカーラ・ブレイ、セシル・テイラーまで、数多くのリーダー作品で発揮されてきた。正確なタイムキーパーとしての才能もさることながら、彼はむしろ「時間を拡張し、空間を創造する」ドラマーとして名高い。その演奏の特徴は力強さやスウィング感ではなく、消えない存在感だ。「Mountain」はフリゼール作曲の3曲のうちの1つ。印象派的なテレキャスターの響きが、主要なコード・ヴォイシングから始まり、ヴィレレスとストリートが装飾を加えるにつれて少しずつ外れた旋律を生み出す。シリルは歌うようなシンバルワーク、低音にチューニングされたスネア、トムトムで曲を彩り、最小限のメロディの中にダンス・リズムを見いだす。ヴィレレスのソロ中、シリルは重層的なシンバルとハイハットで下支えし、音楽をエーテルから前景へと引き出す。スティーブ・コルソン作の「Leaving East of Java」では、前半はテクスチュアの探求者として、後半は対話者かつ推進力として、バンドを巧みに前進させる。フリゼールのモンク風ブルース「Go Happy Lucky」では、ギタリストがストリートと共にメロディに沿ってソロを展開。ヴィレレスとシリルはグルーヴの背後で一体となる。タイトル曲「The News」は、シリルが1970年代にソロ・パーカッション作品として初めて録音したコンセプチュアルな楽曲。ここでは新聞紙をスネアとトムトムの上に置き、ブラシで演奏する。フリゼールは断片的なコードと抑制された歪みを加え、ヴィレレスはピアノの下にドローン的なシンセを重ね、ストリートは単音と弓奏を交互に奏でる。ヴィレレス作の「Incienso」は、ブラジル民俗音楽とポスト・バップを融合した最小限のメロディから始まり、バンドが余白に広がりのあるグルーヴを創出する。ピアニスト兼バンドリーダーが共作した「Dance of the Nuances」は、不気味な短調のメロディを軸に、アンビエントと実験音楽を電子音響で緩やかに紡ぐ。シリルは終曲「With You in Mind」で、優しい詩を朗読して導入。ヴィレレスとストリートがデュオで加わり、洗練されながらも省略的なバラード構造と和声を控えめに形作る。途中からフリゼールとシリルが参加。ギタリストが旋律の創意を広げる中、シリルは控えめなスネアとシンバルで歌詞の内側に空間を優しく刻む。全体として『The News』は、ドラミングとアンサンブルにおける「少ないほど豊か」というアプローチの手本と言える傑作だ。