『Windy City』は、ブルーグラス・カントリーアーティスト、アリソン・クラウスの5枚目のソロスタジオアルバムです。これはクラウスにとって約18年ぶりの新作ソロリリースであり、プロデューサーのバディ・キャノンと共に選んだクラシックソングのカバー10曲で構成されています。デラックスエディションには、4曲のライブバージョンが追加されています。

アリソン・クラウスは、ブルーグラスとメインストリームのカントリーミュージックの壁を打ち破ったアーティストの一人だが、カントリーラジオが彼女を受け入れる用意があったにもかかわらず、クラウスは彼らの好意を得ようとする興味は一切示さなかった。彼女は常に独自の創造的な道を歩み、アコースティック・ミュージックへの成熟した冒険的なアプローチで聴衆を惹きつけてきた。レコーディングキャリア30年目にして、クラウスはこれまでで最も「カントリー」色の強いアルバムを制作したが、それはカントリー音楽史における特定の時代と場所への音楽的な方向転換でもあった。2017年にリリースされた『Windy City』は、1950年代から60年代のカントリーポリタン・サウンドへの洗練された丁寧なトリビュートであり、カントリーの情感豊かな正直さと個人的なストーリーテリングを、ピアノとストリングスを主体とした滑らかで洗練されたプロダクションと融合させた音楽だ。収録曲は現代の作品ではなく、古き良きスタンダードから選ばれている。プロデューサーのバディ・キャノンは、このアルバムをヴォーカリストとしてのアリソン・クラウスを際立たせる作品として設計し、彼女の卓越したフィドル演奏は1曲にしか登場しない。現代のカントリー音楽の淡い影がこれらの演奏に聴こえるものの、「Losing You」「You Don’t Know Me」、そしてタイトル曲などは、過去10年間のミュージックシティから生まれたどの作品よりも、パッツィー・クラインのクラシックな「ナッシュビル・サウンド」に大きく影響を受けている。「Poison Love」や「It’s Goodbye and So Long to You」で音楽がよりツイストの効いたアプローチを取る時でさえ、キャノンのプロダクションとアレンジは過去のサウンドに深く根ざしている。クラウスのブルーグラス・ミュージックが常に新鮮で現代的なアプローチを感じさせたのに対し、『Windy City』は彼女が過去へと前進するサウンドだ。これは非常に異なるアリソン・クラウスのアルバムだが、同時に優れた作品でもある。伴奏は洗練されているが、見事に実行されており、キャノンはクラウスの声の透明感と感情の幅を引き立てている。彼女は素材の要求に見事に応え、「Gentle on My Mind」や「You Don’t Know Me」のような曲に温かみと繊細な情熱をもたらし、これらのクラシックの決定的な録音を一瞬忘れさせてくれる。『Windy City』がアリソン・クラウスにとって一時的な創造的な寄り道なのか、新しい創造的方向性の第一弾なのかはまだ分からない。しかし、クラウスがレトロなカントリーポリタン・ミュージックの新たな声になりたいのであれば、『Windy City』は彼女にそれを実現する才能と知性があることを疑いの余地なく示しており、このアルバムは非常に満足のいく体験だ。 ~~ AllMusicレビュー（マーク・デミング）