88歳の作曲家であり、ジャズ界のレジェンド、アハマド・ジャマールが『バラード』を発表。このアルバムは、彼が超越的な旅の中でルーツに回帰する姿を捉えています。ジャマールはジャズの巨匠たちが結成した緊密なクラブの一員です。そのため、コルトレーンやマイルスのように、過去を乗り越える手段として自身のルーツに立ち返っています。『バラード』の核心はソロピアノアルバムであり、これはジャマールにとって初の試みです（3曲ではダブルベース奏者ジェームズ・カマックが参加）。音楽は純粋な芸術そのもので、象徴的な「ポインシアナ」から象徴的な「マルセイユ」まで多岐にわたります。『バラード』は、このアーティストの長く輝かしいキャリアにおける新たな傑作です。

驚くべきことに、89歳という高齢ながら、ピアニストのアハマド・ジャマールは今も素晴らしいレコードを作り続けている。豊かな経験と洗練された趣味を備えたジャマールは、今なお自分を動かすもの、表現したいものを確実に見極める感覚を持っている。2016年にリリースした『マルセイユ』という晩年の傑作には及ばないものの、このアルバムのセッション中に録音された主にソロの未発表曲は、芸術的な声明というより、その瞬間の非常に個人的なスナップショットだ。『バラード』ではジャマールが即興を楽しんでいる。今なお素晴らしいタッチと、メロディーとリズムのしなやかな融合が、聴く価値を生んでいる。1958年の『アット・ザ・パーシング』のリリースで最初に名声を得たピアニストは、このセットを『マルセイユ』のタイトルトラックのゆったりとしたソロ演奏で始める。彼の代表曲「ポインシアナ」への長い関わりから生まれた、ひねりの効いたリラックスしたバージョンが展開される。長年のベーシスト、ジェームズ・カマックが3曲で共演し、ロジャース＆ハートの「スプリング・イズ・ヒア」とビル・エヴァンスの「ユア・ストーリー」を効果的にマッシュアップした曲も含まれている。ジャマールの今なお健在な天才の紛れもない証拠を求める人には、即興で作曲・録音された「ビコーズ・アイ・ラヴ・ユー」がある。ジョニー・マーサーとジョニー・マンデルの曲「エミリー」のきらめくようなバージョンでアルバムを締めくくるのは、ジャマールが演奏する際に、そしておそらく自分自身のために、解き放たれた想像力と圧倒的な楽器の腕前を発揮できる典型的な例だ。 – ロバート・ベアード