ジャズ・ファンクの宇宙的な鼓動を駆け抜ける、ロニー・リストン・スミスの比類なき影響力。半世紀以上にわたり、この伝説的なキーボーディスト兼バンドリーダーはジャンルのサウンド形成の原動力となってきた。スミスはマイレス・デイヴィス、ファラオ・サンダース、ガト・バルビエリ、レオン・トーマスといった重鎮たちのサイドマンとしてレコーディングデビューを果たした。その後、自身のバンド「ロニー・リストン・スミス＆ザ・コズミック・エコーズ」を結成し、1970年代にかけて数々のクラシック・アルバムを生み出した。彼の音楽は不朽のヒップホップ・サンプルの礎となり、熱狂的なダンスフロアを沸かせてきた。2020年2月下旬、スミスはジャズ・イズ・デッドの「ブラック・ヒストリー・マンス」シリーズのヘッドライナーを務め、多くのジャズファンにCOVID-19の悪夢が襲う前の最後のライブ音楽体験を提供した。今、彼はジャズ・イズ・デッドと再び手を組み、『Lonnie Liston Smith JID017』を発表。マエストロ自身の指先から生まれた多様な音の潮流への、満開の賛歌を届ける。

アルバムのオープニング曲「Love Brings Happiness」は、ドラムとギターが炸裂し、Jazz Is Deadの常連コラボレーターであるローレン・オーデンの艶やかなボーカルが絡み合う。タイトル通り、逃れられないほどの励ましと安心感が突き刺さる。対照的に、続く「Dawn」ではテンポを落とし、キーボードとシンセによる瞑想的な世界が広がる。「Cosmic Changes」では再びオーデンが愛と幸福についての宇宙的な真実を歌い上げ、ギターとキーボードが背景で漂う。「Gratitude」では、スミスとバンドメンバーがグルーヴを抑制し、スミスはグランドピアノに切り替えながら、シンバルの煌めきや風鈴の音がフェードイン・アウトし、ファラオ・サンダースとの共演時代を優しく想起させる。オーデンとの三部作を締めくくる「Love Can Be」は、フェンダー・ローズやオルガン、控えめなグルーヴがゆったりと進み、オーデンの歌声が加わると一気に加速する。その名の通り「Fête」では、庭先のソワレにぴったりのサウンドトラックが展開され、太陽が地平線に沈む中、友人たちとグリルを囲む喜びの瞬間が描かれる。フライング・ダッチマン・レーベル時代のクラシックアルバムから抜け出したような「Kaleidoscope」は、スミスの音楽の真髄を凝縮している——陽光のようにきらめく内省的なコードが、深く潜るか解放するかの空間を開き、私的なエネルギーと公共性の完璧なバランスを実現。終盤の「What May Come」では、この私的エネルギーをさらに推し進め、スミスのローズが世紀に一度現れる彗星のように滑走し、ホーンやチャイム、パーカッションが軌道を縫うように飛び交う。アルバムを締めくくる「A New Spring」は、ここまでの瞑想的な流れの頂点として、テーマ的なクライマックスを迎える。JID017は全体として、愛が癒す力への勝利の讃歌だ。ジャズ、ヒップホップ、ダンスミュージックの複数の世代から愛され続けるロニー・リストン・スミスは、今なお最も有名なレコード時代と変わらぬ輝きを放っている。スタジオでは、スミスの音楽的軌跡を称賛する現代の重鎮エイドリアン・ヤングとアリ・シャヒード・ムハンマドと共に、スミスの代表的な音楽的モチーフやテーマを掘り起こし、その不朽の切なさを改めて提示している。