約40年にわたり、アリソン・クラウス＆ユニオン・ステーションは、ブルーグラスやルーツミュージックにおいて最も影響力があり広く称賛されるアーティストの一つとしてその伝統を守り続けてきました。クラウスは27回のグラミー賞を受賞し、2021年にはブルーグラス・ミュージック・ホール・オブ・フェームに殿堂入りを果たしました。ルーツ、カントリー、ロックンロール、ポップの境界を超越した、完璧に作り上げられながらも常に驚きに満ちたサウンドで知られる彼らは、2011年の傑作『ペーパー・エアプレイン』以来となる待望の新作『アルカディア』で帰ってきました。このアルバムは批評家から絶賛され、複数のグラミー賞を受賞、ビルボードのカントリー、ブルーグラス、フォークアルバムチャートで初登場1位を記録しました。今年の春、彼らは2015年以来となる北米73都市でのツアーを開始します。『アルカディア』はアリソン・クラウス＆ユニオン・ステーション自身がプロデュースし、バンドと長年共に仕事をしてきた10度のグラミー賞受賞プロデューサー、ゲイリー・パチョーサが追加プロデュースを担当しました。メンバーは、アリソン・クラウス（フィドル、リードボーカル）、ジェリー・ダグラス（ドブロ、ラップスチール、ボーカル）、ロン・ブロック（バンジョー、ギター、ボーカル）、バリー・ベイルズ（ベース、ボーカル）、そして新メンバーとして高名なテナー歌手ラッセル・ムーア（ギター、マンドリン、リードボーカル）を迎えています。彼らはそれぞれが個性的で、ソロキャリアも成功を収めていますが、一緒になると、比類のない結束力を持つ音楽集団へと変貌を遂げます。

14年の空白を経て、アリソン・クラウスとユニオン・ステーションが、彼らをメインストリームに押し上げた映画『オー・ブラザー！』のサウンドトラック25周年記念に合わせて帰ってきた。バンドは既にブルーグラスのスーパーグループだったが（クラウスのフィドル、ジェリー・ダグラスのラップスチールとドブロ、ダン・ティミンスキーのマンドリンとギター、ロン・ブロックのバンジョー、バリー・ベイルズのアップライトベース）、ティミンスキーがソロ活動で多忙なため、ラッセル・ムーアが加入しさらに充実した。ムーア（国際ブルーグラス音楽協会で最多受賞男性ボーカリスト）とクラウスを擁する今、バンドは現代ブルーグラス界で最も称賛される2人の歌手を抱え、メンバー交代は暗めの本作に新たなエネルギーを吹き込んだ。ムーアがリードする「The Hangman」は1950年代のモーリス・オグデンの詩を基にした冷徹な楽曲で、市民が次々と処刑される町を描く。誰もが恐怖で声を上げられず、語り手も最終的に絞首台へ追いやられる。バラード「Granite Mills」は19世紀ニューヨーク・フォールリバーの工業事故を題材にした伝統曲で、子供を含む工場労働者が火災から脱出しようとする恐怖を伝える。喪失をテーマにした「Looks Like the End of the Road」は東欧風の謎めいた雰囲気で、ダグラスのドブロが憂いを掻き立てる。クラウスの「goodbyyyyyye」という歌声は天へ昇るようだ。「The Wrong Way」ではティミンスキーとロバート・リー・キャッスルマンが書いた終末を探る暗い曲で、彼女の透明な歌声が冴え渡る。「One Ray of Shine」では短調の美しさが切なさを増幅する。しかし全てが悲しみではない。伝統曲「Richmond on the James」は軽快でブロックとベイルズの見事な演奏が光り、黄金色の「Snow」ではピッキングが息を呑むほどだ。JDマクファーソンの「North Side Gal」のカバーはロカビリーの魂を失わず。クラウスはディズニープリンセスの如く「There’s a Light Up Ahead」でおとぎ話のような美しい歌声を響かせる。- シェリー・リデンノア